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【専門家向けコラム】食事サービスの重要性

2016/06/20 09:57
食事サービスの歴史は古く、自治体の福祉制度の中で、すでにいろんな形で進められています。
この世界では古い歴史をもち、唯一の全国団体である「一般社団法人全国老人給食協力会 ふきのとう」の専務理事 平野覚治さんにご意見を伺ってきました。


食が「未病」につながる

ひとり暮らしの人が650万人を超えましたが、多くの人々が低栄養気味です。
これは食費を節約しているだけではなく、自分だけの食事を作り、ひとりで食べると単調な食生活になるからです。
例えば、大根1本を買ってきたとして、調理に工夫を加えたとしても、ひとり暮らしではなかなか食べようがありません。
また、テレビを見ながらひとりで食べるのは寂しいものです。
こうして、調理そのものに興味を失っていくのです。

これを乗り超えるには、参加型で調理をする、会食方式にすることが考えられます。
そして、身近な地域にできるだけ会食の場を設定することです。

孤食はよくありません。
民間企業の宅配食事サービスがありますが、これにはコミュニティサービス、すなわち参加型という仕組みを組み込んでいくことができません。
近所の知り合いと同じ釜の飯を食べることは、地域コミュニティ形成につながります。

自治体の多くは、「食」は民間企業からも得ることができることもあり、熱心な取り組みをしていません。
だが、人間らしい生活をするための基本は食にあり、ボランティア活動による食事づくりに参加して、栄養の確保をすることが一番の未病対策であることは、老人給食協力会の活動を通してして明らかです。
ふきのとうでは、70・80歳代のボランティア活動家が多数参加しています。
つまり、地域での食事づくりや会食の重要性は、その提供をボランティア活動で行うという意味を含め、地域活動の潤滑油になっているのです。


食事サービスの新しい時代

平野さんは、今後の食事サービスは「高齢者だけ」ではなく、子ども食堂を展開している人たちとも連携し、地域共生の観点からも「地域における誰でも食堂」の時代だとおっしゃっています。

すでに子ども食堂は全国に200あり、これが老人給食活動と連携すれば、燎原の火のように広がるだろうと予測しています。
平野さんたちは実行委員会形式にて、各県でセミナーの開催を企画・進行しています。

たしかに、高齢者の食事が低栄養気味になっているとはいえ、高齢者だけのための食事サービスに多世代のボランティアが今後集まるだろうか。子どもへの食事支援など、地域で困っている全ての人のための食事の方がボランティア参加の意欲は高まるだろう。


ところで、改正介護保険はこうした動きを範疇に入れて、応援する仕組みにしています。
地域での「通い場」「サロン」は地域コミュニティの場として、高齢者だけではなく、子どもや障がい者も一緒にした「たまり場」になることをすすめています。
ところが、この制度の実施主体は自治体の責任なのですが、自治体の理解度が薄いことが気がかりです。

まずは、私たちは「通いの場」での簡単なランチを出すことから始めて、そこには高齢者だけではなく、子どもや障がい者も集まれるようにしながら、より本格的に展開していけばどうでしょうか。

食の新しい時代が来ているのです。



NPO法人市民福祉団体全国協議会 田中尚輝氏